我が国の自殺総合対策について

先日、平成26年度愛知県自殺対策推進協議会に協議会委員として参加してきました。
また一日おいて、本日、名古屋市において政令指定都市としての名古屋市自殺対策連絡協議会も開催され、こちらも委員として参加してまいりました。

愛知県と名古屋市の両協議会とも、平成19年からの設置開設なのでもうかれこれ7年目のお付き合いになります。

この間、国や地方の自殺総合対策、つまり施策としての自殺予防や自死遺族支援に向けた取り組みは大きく前進しました。
自殺対策基本法の制定(平成18年施行)
自殺総合対策大綱の策定(平成19年閣議決定)
自殺対策加速化プランの策定(平成20年自殺総合対策会議決定)
地域自殺対策緊急強化基金の創設(平成21年から平成26年まで)
命を守る自殺対策緊急プランの策定(平成22年自殺総合対策会議決定)
そして5年目の見直しを経て
新たな自殺総合対策大綱
~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~
が平成24年に決定するなど
行政による積極的な取り組みが推進されたことは大きいと思います。


そのかいあってか、平成10年に自殺数が日本全国で3万人を突破し
14年連続で3万人を超えていたものが、平成24年ついに15年ぶりに
3万人を下回ることとなり、平成25年も2年連続で3万人を下回りました。


私が委員を務めている愛知県や名古屋市が昨年に比べ増加してしまっているのは、
誠に残念ではありますが、多くの方々が共にこの問題に懸命に取り組んでいるのも
揺るがない事実です。


注意しなければならないことは、自殺者数の増減にこだわりすぎることの
無意味さを十分に意識していなければならないことです。
究極、自殺者がゼロ人にならない限り、自死にもとづく悲しみは必ず存在するのです。

たとえゼロ人になったとしても遺族の悲しみは消えないのです。
つまり、自殺対策は、数字の上下に一喜一憂することなく
取り組まなければならない事業であることと十分に自覚しなければならないのです。


まさに重要なのは、残された遺族は悲嘆の苦しみの中で
文字通り、必死に生きているということです。
一人の自死者にはその5倍以上の遺族(祖父母・両親・配偶者・兄弟・親戚)、
10倍以上の関係者(友人、学校の先生、職場の上司・同僚・後輩、家族の知人)が
存在するといわれており、
毎年、遺族関係者は減ることなく、日々悲しみの中で累積されていく
存在であることを理解しなければ、真の自殺問題の解決には至らないと思います。


日本社会に深刻な影を落とす病理現象でもある自殺問題は、
国民一人ひとりの心に重くのしかかってくる
実は大変重要な社会的課題の一つだと思います。