「命」を考える


日本の夏、2014年の8月が終わりました。

この1ヶ月は、ストレートに「人の命」のあり様が問われた月になったと思います。

5日に発見された、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの
笹井芳樹・副センター長の自死は、衝撃的であり、
極めて残念過ぎる人物の死でした。
また、アメリカでは11日、
名優ロビン・ウィリアムズがうつ病を患い自死を選びました。

自分自身が行政の自殺対策協議会に携わっていることもあり、
追い詰められた末の人の死に対して、
命の守り方を真剣に国家は考えなければならないと考えますし、
人の命に対して、マスコミも含め社会全体の責任のあり様が、
もっと問われるべきではないかと思います。

人の命はかけがえのないものです。
世界的に有名な医科学者や文化人の損失は、
国家の損失であり、文明発展の損失でもあります。

もちろん、どんな人であっても大切でない人など、
この世の中にはおりません。
人は誰かにとって必ず重要で大切な存在なのです。
ただ、そんな世の中に大切な人たちが、
毎年3万人近く、自死を選ぶ国。
それが、今の日本なのです。

さらに、8月20日の未明、広島市北部を襲った記録的豪雨による
大規模土砂災害は一瞬にして多くの命を奪いました。
行政の避難勧告の遅れやハザードマップの周知徹底など
災害の初動対策や日頃の防災危機意識について、
あらためて災害列島日本に生きる命のあり方を
考えさせられました。

このこと意外にも、当たり前ですが
8月は日本人として「命のあり方」を
しっかり考えるべき月なのだと思います。

言うまでもなく、
8月6日、9日には罪の無い一般市民を巻き込んだ
広島、長崎への原爆投下の日があり、あっという間に
広島で14万人が、長崎で7万4千人の市民の命が奪われたのです。
8月15日には終戦記念日があり、先の戦争により、わが国のみならず
世界中で尊い多くの命が失われたことに
思いをはせる月、それが8月の意味なのだと思います。

世界に目を向けると、
8月3日に、中国の雲南省でマグニチュード6.5の地震が発生し、
死者が600名を超え、100名以上が未だに行方不明となっており
今なお救援が続けられています。
さらに、西アフリカではエボラ出血熱による死者数が1500人を超え、
WTOからは、ついに非常事態宣言も出される事態となりました。
感染者も3000名を上回り、その被害者数は2万人を超えるとされ
感染被害は今でも拡大しているといいます。
まさに、パンデミックとなって世界中を不安に陥れています。

戦争にしろ、自然災害にしろ、疫病の発生や止まらない自死問題にしろ、
私にとって、毎年この8月は「人の命」のあり様を考える
とても重要で大切な月となっていくことに、間違いはなく、
お盆という御先祖供養とあいまって、心穏やかに命の重みを
感じてしっかり生きていきたい、そんな月となっているのです。