中国の日本研究者たちとの友情

吉林大学正門前

中国吉林省にある国立の吉林大学に呼ばれ
8月4日から「日本の政治経済の情勢および日中関係の発展」の
テーマで講演に出かけました。

お邪魔した長春市は、かつて旧満州国の首都だったこともあり、
日本的でありロシア的であり、満州的であり中国的でもある
複雑な都市の表情を、訪れた全ての者に見せてくれます。

丁度、2年前に中国広東省の広州市にある中山大学からの依頼により
同じく講演の機会を得ましたが、その際にみた街並みは、南方らしさを
漂わせるとても独特なもので、街全体に自由な気風を感じたことを
覚えています。

中国広州市中山大学

今回は、東北地方の吉林省であり、文字通り広大な中国国土を感じるだけでなく
多様な文化、民族、歴史を内包する国家の姿を学ぶことが出来た気がします。

さて、この講演は吉林大学日本研究所の主催ですが、
大変な名門校であり、多数の政治家や経済人、
著名な学者、文化人を輩出していることでも有名だそうで
なかでも、日本研究に関していえば、日本研究所が1964年に設立され
今年で50周年を迎えるなど、中国全土でも屈指の日本研究機関であると
講演を始める直前に教えられたことは、
相当なプレッシャーになったのは言うまでもありません。

そんな状況で行った、1時間の講演と、2時間にわたるディスカッションは、
さすがに疲れましたが、より良き日中関係を模索する真剣な議論の場となり
とても楽しく、自分自身も教えられることの多い有意義な時間となりました。

吉林大学日本研究所所長の龐徳良博士と6名の政治経済学博士
日本も中国も、ともに国内外に様々な課題を抱えながら経済の安定成長を
志向する、より良きアジアの仲間でありたいと願うのは、
出席者全員の思いだと言っても過言ではありません。
靖国問題や領土問題、歴史認識に関する問題も率直に議論をしましたが
双方の言い分を真摯に聞き、相互理解に努める努力の必要性は確実で、
こうした両国間のコミュニケーションを続けていくことの大切さを
双方が理解し、共通認識を形成できたことは、相互の信頼を築き上げるうえで
とても重要であり、今回の大きな収穫だと思います。