これまで、我が国では20歳以上に付与されていた選挙権が
来年2016年に行われる参議院選挙からは、18歳以上に
年齢が引き下げられ、適用されるという。
この選挙権の年齢引き下げは、1945年の終戦の年に
それまで、25歳以上であったものから20歳以上に
引き下げられて以来、70年ぶりの改正だという。
これにより、来年の参議院選挙には240万人の有権者が
新たに誕生することになるとされている。
参政権の拡大は、国民の権利の広がりとしては大変喜ばしいことで
歓迎すべきことではある。
しかし、せっかくの権利を放棄したり、しっかり行使しなければ、
無駄であり、宝の持ち腐れになってしまう。
ましてや、代議制で政治家に政策決定を託す日本の政治体制では
有権者自身が、しっかりと政治家に投票行動を示さなければ、
政治家が民意に基づく政策判断を間違えることになる。
18歳選挙権に対し、社会が不安視している最大の争点は、
新たな有権者の判断が、本当に正しく行えるのかである。
政府は、今後は「主権者教育を推進していきたい」(菅官房長官)と
コメントしているが、社会経験の乏しい18歳・19歳の青年に
投票判断を委ねるリスクを指摘する有識者も大勢いる。
ならば、20歳以上の有権者が本当に正しい選択をしてきているのか
と問われたときに、我々は堂々と胸を張れないこともある。
世の中には、すぐに見つからない正解も多くある。
民主主義とは多数による選択を繰り返す制度であり、
その責任を全体で負うことで、時間をかけて正解を
導き出していくものと、私は考える。
多くの価値観の中から話し合いを重ね、導き出される社会の結論を
民主主義の成果として受け入れていく。
そんな政治あり方を大切にしていきたい。
そう考える良いきっかけを18歳選挙権問題は投げかけてくれた。
たゆまない民主主義への挑戦を、私も一人の国民として
取り組んでいきたいと思う。