我が国の戦後の安全保障政策における歴史的転換点となる
重要な法案「平和安全法制整備法案」「国際平和支援法案」の
二法案が衆議院で可決した。
即日、参議院に送付されたものの、衆議院での再可決による
「60日ルール」の適用を考えると、本法案の事実上の成立
である。これにより、集団的自衛権の行使が可能となった。
確かに、我が国を取り巻く安全保障環境は大きく変化し、
日本国憲法が想定してきた社会状況も著しく変容してきている
のは事実である。
国民生活を守るため、政治がこれに的確に対応をしていくことは
当然のことではある。
しかしながら、もう一つの守らなければならないのは
「民主主義の精神」である。
それには、決定のプロセスが問われてくる。
今回の重要法案に対する政府の説明責任、国民理解への努力、
立法府である議会の進め方など、問われなければならない
決定プロセスに疑問の声は多い。
適正な民主主義的手続きが欠落していたという意見だ。
さらに、国会並びに国会議員の役割について、内閣の果たすべき役割、
与党と野党の責任とは、マスコミの役割とは…。
今回の一連の安保法制騒動は、それぞれの役割や責任について、
改めて国民の中に疑問や不満を増大させたかも知れない。
民主主義の最も大きな敵は、政治に対する不信感と政治家に対する絶望感
だと考える。
政治は常に結果責任が問われる。今回の政府与党の強行採決による決定が、
国民を不幸にしない決定だという要証事実の立証責任が政府にはあることを
与党の政治家には肝に銘じてもらいたい。