ミャンマーの総選挙と民主化



2015年11月8日に行われたミャンマーの総選挙は、世界に様々な衝撃を与えました。
一週間が経った今でも、すべての開票結果が確定していない状況にはありますが、
ミャンマー連邦選挙管理委員会の発表によると、アウン・サン・スー・チー氏が
率いるNLD(国民民主連盟)が上下両院(664議席)の過半数(333議席)を
大幅に上回る議席を獲得したと発表しました。

前回の2011年の民政移管後に行われる初めての選挙であり、改革開放、軍政からの
脱却と経済成長に邁進するミャンマー政府の民主化定着の真価が問われるものでした。

多くの国から選挙監視団も入り、不正のない民主的な選挙の実現に努めていたと思います。

テイン・セイン大統領やミン・アウン・フライン国軍司令官らも選挙結果を尊重し、
現実を受け入れると語っており、民主的な選挙を経て政権交代が実現し、新たな政権が
ミャンマーに誕生することが確定的となりました。

様々な縁をいただき生まれた、私とミャンマーとの交流も長くなり、当初は軍事政権下に
あったので、空港やホテルなどいたるとこに兵士が自動小銃を抱えて立っているのが普通
でしたが、今の開かれた民主国家ミャンマーの変貌ぶりには目を見張るものがあります。

政権内部の引継ぎ等を経て、来年3月には歴史的な政権交代を成し遂げたNLDによる、
新たな政府の誕生を喜びたい。それは、現政権のUSDP(連邦団結発展党)の潔さに
よるところが重要で、むしろ選挙後におけるUSDPの勇気を賞賛したいと思います。
選挙結果をめぐる混乱や騒動、争いをいさめる双方の呼びかけは、良識ある多くの
ミャンマー人たちを自制心ある行動へと抑制させていることで、とても重要なことと
思います。

問題は、さあこれからです。スー・チーさんもNLDも早速、正念場を迎えます。
多くの国民の期待にしっかりと応えていかなければ、次の選挙で負けることになるのです。
これが民主主義のチェック機能であり、国民主権の姿だからです。
民主主義は時間も手間もかかりますが、良くも悪くも民意を大切にくみ取る制度なのです。
もちろん私自身も、民主化されたミャンマーの国づくりに、これからも引き続き人材教育の
面においてしっかりと貢献していきたいと思います。