中国深圳市にて「日中防災交流会」に参加、その2 ~防災と経済について考える~



今回、中国深圳市での日中防災交流・討論会を通じ、災害と経済の関係性を考えてみる。
どこの国家も国民も、政治が安定し、経済が成長し、社会が発展することを望むもの。
なかでも政治の安定と社会の発展には、経済の成長こそが重要であり、その経済成長のリスク要因の一つに災害の発生がある。ここに、防災の経済的重要性が発生する。
つまり、防災・減災の取り組みは経済発展に大きな役割があり、逆に言えば、自然災害は
ときに国家の経済成長率を急激に押し下げ、景気に悪影響を与える大きな経済リスクとなというものである。


また、一方で災害の発生は、短期的にみれば経済成長率が減速することになるが、長期的にみれば経済にプラスの効果が表れることがあると指摘しているグループもいる。
災害後の復興作業が復興需要を生み出すことで、ケインズ経済の乗数効果を生み、GDPを押し上げる効果があるという。それは、災害の発生により、新たな国際物流・貿易が生まれ、資本が更新され、新たな投資を生み、設備も更新され、技術が改良されることで経済全体の成長を促すというものである。つまり、長期経済成長における災害発生の役割を指摘している研究者たちもいるのである。


そこで、各国の政策担当者は、災害の発生を恐れずに、社会の発展を図る国民経済の力強い対応力を確立していくことが重要であり、そうした防災経済論の理念を打ち立てることの必要性を強く感じられたことが、今回の日中防災討論会大きな成果であったと思う。
こうした貴重な機会を快く受け入れて頂いた、中国側関係者の皆様には心から感謝を致します。