ついに2020東京オリンピックが開催!(2021年7月23日~8月8日)

様々な課題や問題を引きずったまま、ついに2020東京オリンピックが開催した。
正式には、一年の延期というオリンピック史上初の措置を経て、第32回夏季オリンピック東京大会が、これまた史上初の無観客開催によって開幕したのである。

そもそも、この2020東京オリンピック自体が幾多の変遷の歴史でもあった。

まず、五輪開催の理念が、招致活動の際には「東日本大震災から立ち直った日本の姿を(2011年石原都知事・当時)と強く主張し、2013年にIOC総会で招致が決定される。

その後、2018年に安倍総理(当時)がバッハIOC会長と福島視察を行った際にも「復興五輪と銘打った姿を世界に発信」と説明していたのである。
しかし、2020年に新型コロナウイルス感染症が蔓延し、五輪開催の1年の延期に合意すると、「人類が感染症ウイルスに打ち勝った証しとして開催」と目的が変わり、2021年に菅総理が訪米した際にバイデン米大統領には「世界の団結の象徴」としてのオリンピック開催と説明するなど、大会開催の理念が大きくブレてきていたのである。


さらに、大会運営においても様々な不祥事・トラブルにも見舞われた。
まず、2015年ザハ・ハディド氏の設計案に決まっていた新国立競技場の建設計画が、総工費の膨張を理由に白紙撤回され、後に隈研吾氏の案に変更された。さらに、佐野研二郎氏デザインの公式エンブレムがベルギーの劇場のロゴと酷似しているとの指摘を受け、白紙撤回に追い込まれた。また、当初開催前年の2019年にはJOCの竹田会長(当時)に東京五輪誘致に絡む贈賄疑惑が発生、同年に任期満了で退任することになった。

延期となった2021年に入ると2月に五輪組織委員会の森喜朗会長(当時)が女性蔑視発言、3月に開閉会式選出総合統括の佐々木宏氏がタレントを豚に見立てた不適正津演出案が発覚、開催月の7月には開会式楽曲制作担当のミュージシャン・小山田圭吾氏が過去の障害者に対するいじめ問題が発覚、いづれも皆、辞任に追い込まれてる。

極めつけは、開閉会式の制作・演出の統括ディレクターを務めていた小林賢太郎氏が、過去にホロコーストをコントに取り上げたことについて批判が広がり、大会前日に解任という事態に陥っていた。



前回1964年開催の東京オリンピックに対する国民の期待と熱狂に比べ、今回の2021年開催の東京オリンピックは随分と日本全体の雰囲気が違うのは、単にコロナウイルスが日本社会に蔓延していることだけではないと思う。


随分と日本社会の価値観が国際社会からズレてしまっているのか、我々日本人のモラルが大きく低下してしまったのか、いづれにしても今回の2020東京オリンピックは日本人と日本社会に前回と違った大きな影響を与えていることに間違いはない。